福岡市の空き家は、住宅・土地統計調査で2018年の94,200戸から2023年の79,700戸に減り、空き家率も10.5%から8.4%になりました。空き家には賃貸や売却を待つ住宅も含まれ、総数がそのまま放置住宅や活用できる住宅の数になるわけではありません。市には放置空き家への対策と、条件を満たす住宅や地域施設への改修補助があります。候補者の提案は、管理、住まいへの活用、地域利用のどれを、誰の費用と責任で進めるかが比較点です。
今、福岡市でどうなっている?
福岡市の住生活基本計画が掲載する住宅・土地統計調査では、市内の空き家は2018年の94,200戸から2023年の79,700戸へ減りました。空き家率は10.5%から8.4%です。これは調査した2時点の比較で、2026年現在の戸数を示すものではありません。 福岡市住生活基本計画・第2章24ページ
| 調査年 | 空き家数 | 空き家率 |
|---|---|---|
| 2018年 | 94,200戸 | 10.5% |
| 2023年 | 79,700戸 | 8.4% |
2023年の内訳は、賃貸用または売却用が65,900戸、二次的住宅が500戸、居住目的のない空き家が13,300戸です。賃貸用・売却用には、新たな入居者や購入者を待っている物件が含まれます。別荘などの二次的住宅も同じ空き家の統計に入ります。空き家の総数から、危険なまま放置された家の数を読み取ることはできません。
市全体の率が下がっていても、個々の地域や建物の状態は異なります。使える住宅を探す人にとっては、通勤先や学校との距離、家賃、建物の安全性、広さなども重要です。数があることと、希望に合う住宅に入居できることを分けて考える必要があります。
なぜ市長選の論点になる?
管理が行き届かない建物は、周囲の安全や生活環境に関わります。一方、状態や権利関係を整えられる建物は、住まいや地域の活動場所として生かせる可能性があります。市長選では、市が相談・調査・改修支援にどれだけ人員と予算を配分するかが論点になります。
市は相談窓口を設けたり、国の制度に沿って対策を進めたり、市独自の補助制度を設計したりできます。建物の改修や貸し出しには所有者の意向、物件の状態、借りる人の需要なども関わります。公約は、市が直接できる仕事と、所有者や事業者、地域との協力が必要な仕事に分けて読むと具体的になります。
今ある制度・取り組み
福岡市は放置空き家対策を案内しています。管理についての相談と、空き家を実際に使うための支援は目的が異なります。 福岡市・放置空家対策
市の「地域貢献等空き家活用補助金」には、子育て世帯の住まいに使う「子育て居住型」と、子ども食堂や福祉施設などに使う「地域貢献型」があります。どちらも対象となる工事等の費用の2分の1を補助し、上限はそれぞれ100万円、250万円です。申請や物件には条件があります。 福岡市・地域貢献等空き家活用補助金
子育て居住型は、市街化調整区域内の一定の地区への移住などが対象です。2026年度から、市内の市街化区域からの転居も対象に加わりました。地域貢献型は地域の交流や福祉などの用途が対象です。共通して10年以上の活用や、建築・耐震性、災害リスクなどの要件があります。借りて改修する場合は所有者の同意も必要です。対象工事、契約時期や申請手続きは市の案内で確認してください。
これらは現在案内されている制度です。候補者の公約は、この対象地区・用途・補助額を広げるのか、相談体制を強くするのか、別の制度を設けるのかを区別して読みます。
どんな対策・選択肢がある?
| 方法 | 期待できること | 費用・実施条件と課題 |
|---|---|---|
| 所有者への相談・管理支援 | 管理上の問題を把握し、対応を促す | 所有者の連絡先や権利関係の確認、相談担当者の確保が必要 |
| 修繕・解体への支援 | 危険を減らし、敷地の今後を考えやすくする | 対象物件、所有者負担、撤去後の土地の使い方を確認する |
| 住宅への改修・入居支援 | 条件の合う物件を住まいに使う | 改修費、耐震性、立地、家賃、貸主と入居者の合意が必要 |
| 地域施設への活用 | 食堂や交流などの活動場所を確保する | 運営する人、利用需要、改修後の光熱費や維持管理費を見込む |
最初に管理の問題を把握する方法は、危険への対応を考える出発点になります。所有者が遠方にいる場合や、相続人が複数いる場合には、合意まで時間がかかることがあります。市が相談を受けても、所有者が負担する修繕費や手続きまで自動的に解決するわけではありません。
住宅に使う場合は、改修によって入居できる状態にするだけでなく、賃料や交通、買い物、学校への距離が入居者の希望に合うかが重要です。地域施設として使う場合も、開設後に活動を続ける運営主体と収入・支出の見通しが必要です。改修費の補助額だけでなく、その後の管理費まで含めた説明を比較します。
候補者の公約を見るポイント
候補者の案は、管理が必要な建物への対応か、住宅としての活用か、地域活動の場づくりかを確かめます。そのうえで、対象となる所有者・物件、補助額と自己負担、必要な人員、開始時期、財源、利用後の管理責任を同じ項目で比べます。
空き家対策の提案を、家賃補助や再開発への立場と一つにまとめず、それぞれ本人の説明を確認します。
まとめ
空き家数は2018年から2023年の比較で減りましたが、用途や状態は一様ではありません。市の既存補助の対象を押さえたうえで、管理、住宅利用、地域利用のどれに重点を置き、費用と責任をどう分けるかを比べることが大切です。